神経科学が専門の器用貧乏の報告書
2020-2021年サイクルに続いて、2021-2022年サイクルもコロナ禍の影響でオンライン開催が予定されている理研CBS主催の脳科学塾(BSTP)。昨年度は受講者、今年度はTAとして参加する私から見た脳科学塾を解説します。
書評のお誘いを頂いたので、渡辺正峰先生の「脳の意識 機械の意識」の書評をTokyo Academic Review of Booksさんに寄稿させていただきました。
先日第一回Neuromatch Academyが終了しました。コロナウイルス騒動の中で今までのようなサマースクールが実施不可能と見たサマースクールの運営者たち、神経科学界の実力者たちが集まって作り上げたのがこのオンラインサマースクール、Neuromatch Academyで…
前編では研究界の男女格差はどこから来ているのか、政府の調査報告書等の数字を見ながら検討しました。研究者の女性の割合が低いのは中学生から教授職まであらゆる段階で様々な理由が複合した結果ということがわかって頂けたのではないでしょうか。後編では…
国別男女格差ランキングなどが出ると、決まって日本は先進国の中でも最低クラスの順位を叩き出しています。実力主義であるはずの研究界も例にもれず、研究者の数は不自然なほどの男女差があるのです。前編では男女の格差がどの段階から生まれているのか、近…
みなさん寝ている間に夢を「見る」と思います。何かに追いかけられたり、何かから落ちたり。しかし寝ているということは目を閉じているということですから(たまに目開けたまま寝る人いますけど)、夢を見える景色は頭の中で作られた景色なわけです。では元々…
アメリカではそもそも基本的に研究室配属は存在せず、研究室で研究するには自らが能動的に動いて所属させてもらう必要があります。この記事ではそのような研究室配属を経ないで研究室に所属する方法にどのようなものがあるかを解説したいと思います。*1 *1:…
研究所の中身シリーズ第二弾として、アメリカ・ワシントン州にある研究機関、フレッドハッチンソンがん研究センターを取り上げたいと思います。日本での知名度は皆無ですが、ノーベル賞を三人輩出し、生命科学に研究を限定してるにも関わらず予算規模は90…
コネクトーム(Connectome)自体はあまり馴染みのない言葉かも知れません。しかしその概念はかなりシンプルで、脳を作っている神経細胞のつながりを明らかにするマップ、つまり脳の地図です。多くの神経科学者たちが苦心するコネクトームとは一体何なのか、果…
全長1mmの線虫、C. elegansによるがん検査が2020年から実用化されるらしいというニュースを、聞いたことがある人もいるかも知れません。ニュースで報道されていたものよりもう少し詳しく知りたいよという人向けですが、初めて聞いたよという人でも十分に理解…
理化学研究所といえば、日本で唯一の自然科学系総合研究所であり、長岡半太郎博士や湯川秀樹博士などを始めとした日本を代表する科学者を輩出してきた研究機関です。某近年ではS◯AP細胞事件の印象が強い人も多いでしょうが、Nature IndexでもGovernment Sect…
筆者はワシントン大学出身です。へえそうなんだ、で終わることがほとんどですが、少し気になって調べようとした人は「ワシントン」と名の付く大学がアメリカには物凄い数あることに気がつくでしょう。この記事はそんなあまりに多過ぎるワシントン大学たちを…
生物学専攻の人なら一度はC. elegans(シー・エレガンス)*1 を聞いたことがあるのではないでしょうか。逆に一般的にはほぼ皆無と言って良い知名度を誇るこのC. elegans。実は研究の世界では重宝される存在なのです。 *1:正式な学名はCaenorhabditis elegans…
アメリカの大学を卒業して日本の大学院に進学する私に、海外の大学院生事情を聞いたことがある人はこう質問するでしょう。「日本の院に行ったら損じゃね?」確かに金銭面の待遇を見てみると日本の大学院生は損に見えますが、実はそう単純な話ではありません…