Neurohog Reports

日米英で学校を卒業して、それぞれの大学・研究・テニス・海外生活について記事と漫画にしています。

【理研CBS BSTP】脳科学塾が無料ってやばいと思うんですよ【同窓会組織発足】

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2020-2021年サイクルに続いて、2021-2022年サイクルもコロナ禍の影響でオンライン開催が予定されている理研CBS主催の脳科学塾(BSTP)。昨年度は受講者、今年度はTAとして参加する私から見た脳科学塾を解説します。

 

 

 

 

公式サイトの方にも私の書いた短めのレビューが載っているので、ぱっと読みたい方はそちらをどうぞ。

cbs.riken.jp

 

そもそも脳科学塾(BSTP)とは?

脳科学塾(Brain Science Training Program)は2010年から始まった若手脳科学研究者育成のためのトレーニングコースです。学際分野の最たる例とも言える神経科学では、体系的かつ専門的な知識が必要になります。そこで理研CBSでは、複数分野の神経科学研究者が多数所属している特性を活かして、各チームリーダー等を講師に迎え、主に修士1年を対象に脳科学塾を開講しています。

毎年10月辺りに開講して、6月まで毎週火曜日の夜に講義があり(ちょこちょこ穴は空きます)、八割は出席しないと修了証はもらえません。大学の単位としても認められるので(後述)、中間・期末試験やプレゼンもあり、またこれらの試験や授業は全て英語で行われます。カバーされる分野も分子機構・遺伝のようなところから記憶・学習、精神疾患、さらには計算論的神経科学まで広大です。

 

範囲ぶっ壊れな上に全部英語?神経科学ってそういう世界

PIの方々が最先端の研究を交えて自分の専門の話を数時間するわけですから、講義の全内容を理解しようとするとかなり大変ですし、それは多分学生に限った話でもないでしょう。ただ、試験にしてもそんな細かいところまでは聞かれないので、自分の専門や興味外の講義は、なるほどこういう分野があってこういう研究がなされてるのねってぐらいでいいと思います。

それならわざわざそんな負荷をかけなくても、と感じるかもしれませんが、例えば国際学会も範囲ぶっ壊れな上に全部英語で最新研究大盛りです。逆に言えば神経科学という分野で研究者を志すなら、この手の訓練は早くからたくさん積んでおくに越したことはないでしょう。*1

コロナ禍の影響で脳科学塾は昨年度オンライン開催になりましたが、講義の録画が受講生には公開されていたり、授業後にTutor sessionがあったりしたので、案外なんとかなると思います。自分たちで勉強会を開いている人たちもいました。また今年度(2021-2022サイクル)に関しては私がTAを務める予定なので、なんかあったら言ってもらえれば直接対応できます。

 

早稲田・東大生なら学業に負担にはならない

訓練になると言っても、実際あんまり負荷が大きいと困るのが実情です。しかしあなたが早稲田大学、もしくは東京大学の学生なら脳科学塾は授業の単位として認められます。早稲田でどういう扱いなのかは詳しく知りませんが、東大では秋と春合計で4単位になります。どちらにせよ授業の単位は取らないと卒業できないわけですから、実質負担無しです。*2 また、それ以外の大学の学生でもなんか大学と交渉したらどうにかなるかもしれません。

 

仲間増えます、同窓会組織あります

2010年に始まった脳科学塾ですが、すでに過去の卒業生が複数名PIとして理研CBSに戻ってきています。上記の通り、長期間でかなり負荷のありそうに見える(実際ある)プログラムなので、飛び込んでくる人は結構やる気のある、研究モチベーションの高い人です(必ずしもそういう人でないとやらない方が良いという意味ではもちろんありませんが、やっぱりそういう人が多く集まるものです)。普段なかなか関わることがないような同じ神経科学だけど全然異分野みたいな同世代の良い研究界仲間が増える貴重なチャンスになると思います。

また2021年度から、こちらも理研CBSの提供しているSummer Programと合同で同窓会組織が発足しました。同じ期だけでなく、二つのプログラム、そして世代を越えてコミュティとして交流してもらいたいということで、卒業生向けのイベント等も企画していく予定です。過去の脳科学塾、Summer Programの修了者であれば誰でも参加できるので、対象となる方はぜひ下記のフォームからご参加ください

RIKEN CBS Training Program Alumni Association Registration Form

 

気になるお値段は...

無料です。現地開催だった場合は交通費がかかりますが、この手のトレーニングコースが無料というのは例がないわけではないにしろ、かなり破格だと思います。Neuromatch Academyもそうでしたが、脳科学塾も脳科学塾で参加しない理由を見つける方が難しいでしょう。特にオンライン開催の今は埼玉に普段は通えないような人でも参加することができるので、そういった人には特に今年度の応募をお勧めします。

 

公式サイト・参加応募はこちらから

cbs.riken.jp

 

はりねずみ的にまとめると

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*1:こういう私もただの若造学生ですが、言ってることは間違ってない、はず。

*2:無しです(断言)