Neurohog Reports

日米英で学校を卒業して、それぞれの大学・研究・テニス・海外生活について記事と漫画にしています。

【破格の環境】理化学研究所で修士から大学院生になる方法【理研連携大学院制度】

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理化学研究所といえば、日本で唯一の自然科学系総合研究所であり、長岡半太郎博士や湯川秀樹博士などを始めとした日本を代表する科学者を輩出してきた研究機関です。某近年ではS◯AP細胞事件の印象が強い人も多いでしょうが、Nature IndexでもGovernment Sectorで世界6位に格付けされる世界的な研究所であることには変わりありません。そんな理研は大学ではないので学位を出すことができませんが、学生でも理研に所属して研究することは可能です。

 

 

 

前置き

私は来春から*1 実際に理研・東大の連携大学院制度を利用して大学院生になりますので、この記事は当事者からの情報です。自分が得ている情報をできるだけ正確に書いたつもりですが、最新の情報でない場合もあります。あくまで非公式な情報ですので、受験する前に希望する指導教官に連絡する等の方法で必ず現行制度を確認してください。

 

理研と各大学による連携大学院制度

理研の研究者には大学にも籍があることが多い

理研創設当初から帝国大学と兼任する研究員がいたことからある種の伝統なのかもしれませんが、理研の研究者には連携教員として大学に籍のある人も多いです。私の所属することになる理研CBSを例にとれば29人の主任研究員のうち、21人が公式に連携教員としての籍を大学に持っています*2 研究員によっては複数の大学で連携・客員教員としての立場がある人もいらっしゃいます。詳しくは各理研部門のウェブサイトを参照してください。

 

学位・授業は大学、研究・指導は理研で

連携大学院のシステムですが、修士から利用することができ、連携先の大学院入試を突破して正式に所属されます。授業の単位等は連携先の大学院で受け、学位も連携先の大学院から授与されます。また学費等も連携先に収めることになります。普段の研究だけ理研で行うことになりますが、注意したいのは所属する理研部門と連携大学は必ずしも近くない場合があることです。例えば理研CBSは埼玉県にありますが、関西の大学と連携大学院を利用する場合は授業を連携先で受ける必要があるのです。実際は集中して単位を取る、連携先の研究室と連携指導するなどの方策があるようですが、控えめに言って面倒です。

 

博士課程からは理研JRA制度で給料が出る

こちらの情報はある程度出回っているようですが、博士後期課程に在籍する理研の大学院生は理研JRA制度に採用されれば月額16万円以上の支援を受けることができます。学振と違い特に制限のないシンプルな非常勤形態なので、これに加えてTAやら普通のバイトをすることが可能です。また皆さんご存知のように理研には潤沢な予算があり、修士課程の学生も研究室の予算でサポートされる場合があります。最初からそれを目当てに連絡すると印象が悪いかもしれませんが、ある場合は先方からそういう話があると思います。

 

連携大学院制度を利用するための手順

興味の一致する理研の部門を調べる

一言に理研と言われますが実際は約20の部門があり、国内に11拠点、海外に5拠点が存在します。脳科学のCBSは埼玉だけに集中していますが、生命機能のBDRは神戸・横浜・大阪に分散していたりするので注意が必要です。また部門ごとにウェブサイトがあり、研究室は各ウェブサイトから探すことになります。

また連携大学院の説明会も所々で開かれているようです。行く必要があるわけではありませんが、実際に理研に足を運んだことがない人は行ってみるといいのではないでしょうか。

 

興味のある研究室に連絡してみる

興味のある研究室が見つかったら、研究室のウェブサイト等で示されている連絡先にメールしてみてください。何らかのツテがあるならそれを使って連絡してみてもいいでしょう。日本は学部から大学院進学の際の流動性が低い上に、理研や自然科学研究機構は大学院生として所属できることが知られていないので、基本的に学生不足です。大体の場合学生の興味は歓迎されると思います。うざがられても責任は取れませんが。

連携先はまだウェブサイト上で発表されていない場合もありますし、連携していないところでも受け入れを検討してくれるラボは存在するので、興味が合致していればとりあえずメールしてみると良いと思います。

 

連携先の大学院入試に合格する

指導教員に受け入れしてもらえることを確認できたら、次は連携先の大学院に通常通りの出願と受験をする必要があります。複数の連携先がある場合、選ぶことができる場合もありますが、こっちを使って欲しいという希望が先方にある場合もあります。よく相談してください。筆記試験の対策は直接教えてもらったり、その研究室の先輩に聞くのがいいでしょう。*3 面接等には希望先の指導教官がいらっしゃることがほとんどだと思います。

日本の院試は難しくないと言われていますが、東大や京大の連携を使うなら勉強していなければ普通に落ちます。十分に対策なさることをお勧めします。東京大学総合文化研究科広域科学専攻の院試については記事を書いていますのでこちらをどうぞ。

neurohedgehog.hatenablog.com

 

理研連携大学院制度の注意点

  • 大前提として、大学院で研究室を変えることを許してくれる研究室に所属していることが条件になりますが、真摯に説明すればわかってくれる人が多いと思います。*4
  • 理研は主任研究員でも任期付きの場合が多くあります。それはつまり指導教官側にも結果を出すプレッシャーがあるということで、研究活動が激しい反面、ついていけなければ心が折れる可能性も秘めています。
  • 前述しましたが、理研の拠点と連携先が遠い場合は色々と面倒です。

 

あとがき

私自身もJRA制度は知っていましたが修士から所属できることは知らず、推薦状を書いてもらっていたアメリカの教授に理研は修士もいたと思うよと言われて初めて知ったぐらいです。理研の破格の環境で大学院生ができるこのシステムを利用しない手はないと個人的には思います。進路を決める際にはぜひご一考を。

また、私の所属先もそうですが、学部生でも受け入れてもらえる可能性もあります。これに関しては学部の指導教官と理研の研究員の関係性が重要になりますので、連携大学院制度ほどの自由度はありませんが指導教官に掛け合ってみてもいいかもしれません。

 

はりねずみ的にまとめると

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*1:2020年春から

*2:2019年10月現在

*3:私が受験したところでは理研の先生が担当して作る問題がありました。

*4:これに関しては私は日本のラボに所属したことがないので、他にアドバイスを求めてください。