Neurohog Reports

日米英で学校を卒業して、それぞれの大学・研究・テニス・海外生活について記事と漫画にしています。

アメリカで運転免許を取得するのは安くて簡単【ワシントン州筆記・実技試験採点解説】

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日本で運転免許を取った人は難しさもさることながら、その高額具合に目を疑った経験があるのではないでしょうか。噂によるとスイスに次いで世界2位の高さであるとか。スイスの物価の高さと日本の物価の安さを考えると世界一高額と言っても差し支えないんじゃないでしょうか。それに対してザ・車社会のアメリカは遥かに安価で、簡単に免許を取得することができます。この記事では筆者が実際にワシントン州の運転免許を取得した経験をもとにどのような試験があるのか、対策と共にまとめていきたいと思います。

 

 

 

日本の運転免許との互換性

国際運転免許は有効だが、一年以上の滞在なら受け直し

長期の旅行や出張等ならほとんどの人が国際運転免許を取得するのではないでしょうか。日本もアメリカもジュネーブ条約に批准しているので、日本で取得した国際運転免許でアメリカで運転することができます。その逆も然りです。国際運転免許は有効期限が一年なので、一年以下の滞在期間なら他に手続きはいらないでしょう。

しかし、一年以上アメリカに滞在する、正規学位留学や駐在員などは運転するには原則的に運転免許試験を受け直さなければいけません。もう1つ注意したいのは、アメリカの運転免許は州単位で発行されるということです。そのため州ごとに試験の内容や、仕組み、費用などが違ってきます。実際に取得を試みる際には各州の公式DOL/DMV等のサイトを確認してください(州によって運転免許を発行する機関の名前も違うのでこれも注意が必要です)。*1

また試験を受けるためには実際にその州に住んでいることを証明しなければいけませんが、留学生には(交換留学生でも)受験資格があります。免許を持たずに渡米してきた人は留学中に免許を取得すると日本より格安で(後述)免許を取得することができます。

 

メリーランド州・ハワイ州・ワシントン州なら両方向試験なし

前述の通り州ごとに運転免許の発行されるアメリカですが、それぞれの州の運転免許によっては他の国での扱いが違う場合もあります。 国と州で協定などがある場合がこれに相当しますが、インターネット上にあるブログ等だと最新の情報でない場合もあるので注意が必要です。2019年12月時点ではメリーランド・ハワイ・ワシントン各州と日本の間に協定があり、これらの州の運転免許を取得する際には筆記・実技の両試験が不要です。

逆にこの三州で免許を取得した場合は、日本の運転免許を試験なしで取得することができます。協定の基準は日本人が多いかどうか、そしてその州の試験がどれだけしっかりしているかのようですが、詳しい基準はよく分かりません。また交通ルールや、運転席の位置も違うので試験免除でもしっかり知人と練習するか一回でもレッスンを受けておくことをおすすめします

この三州でなくてもアメリカで取得した免許を日本で切り替えるときの試験は外免切り替え試験という、教習のない通常の試験よりも採点の優しいものなので、免許を取得しておくと格安です。

 

筆記試験解説

筆記試験に向けた手続き

公式ウェブサイト上にも解説が載っていますが、ワシントン州では試験を受ける前にオンライン上でPre-Applyという手続きをすることをおすすめします。運転者登録のようなもので、これをやっておくことで様々な手続きがスムーズになります。DOLに行く回数も一回で済むようになる上に、自分の持っている、もしくは取得できる書類を選択していくことで手続きに必要な書類を指定してくれます。

 

筆記試験の概要

前述の通り、運転免許試験は各州独自の基準と方式で行われます。試験方式は大きくは同じですが交通ルールも各州によって異なるので、あくまでワシントン州の筆記試験の話だと理解してお読みください。

近年ワシントン州の筆記試験は問題数が増え、40問の四択問題中32問正解で合格となります。ワシントン州ではDOL(州の機関)で受験する方法とドライビングスクールで受験する方法があります。*2 ドライビング・スクールで受験する場合、筆記試験に落ちても2回まで試験を無料で受け直すことができるので、ドライビング・スクールで受験するのがおすすめです。予約システムもありますが、多くの場合飛び込みでも受験することが可能です。*3

また筆記試験は英語以外の言語で受験することも可能で、日本語でも受験することができます。噂によれば日本語版のテストは数パターンしか存在しない上に過去問も出回っているとか...。正直英語版のテストも難しいわけではないので、私は普通に英語で受験しました。

 

筆記試験の対策

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まずはDOLが発行して公式サイト上で公開されているドライバー・ガイドを読みましょう。すべての問題がこの公式ドライバー・ガイドから出題されます。もうお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、そうです、写真の通りこのドライバー・ガイドには日本語版も存在します。ドライビングスクールで見かけた際にパラパラとめくってみましたが、日本語訳も意外としっかりしていたのでどうしても英語が苦手だという人はこれを使ってみてもいいかも知れません。*4

一通り読み終わったら、インターネット上に無数に存在する無料Practice Knowledge Testで練習してみましょう。実際に結構似たような問題が出るのでいい腕試しになると思います。ただし練習テストも各州のバージョンがあるので、自分の州のバージョンであることを確かめて利用してください

 

技能試験解説

技能試験に向けた手続き

18歳以上なら、筆記試験に合格してDOLに行き目の検査や本人確認、写真撮影をするとInstruction Permit発行されます。このInstruction Permitがあれば即座に公道で運転の練習をすることができます。しかも用件は助手席に5年以上の運転経験者がいることのみ。この辺りは他の州でも同様の仕組みなようですが、さすがアメリカと言ったところでしょうか。

18歳以下は運転の最低練習時間やドライビング・スクールの教習コースが必須だったりと条件がありますが、18歳以上には特に制限がないので、試験に受かりそうと思ったら受験することになります。試験はドライビング・スクールで受けるのがおすすめです。

 

技能試験の概要

ワシントン州の技能試験はアメリカの中でも最もテストされる項目が多く、難しいとされています。が、日本やイギリスの試験に比べれば全く大したことはないと言えるでしょう。100点の持ち点から始まり、減点方式で80点以上が合格になります。主にテストされるのは、

  • ハンドシグナル・車の操作 *5
  • 全体的な運転スキル *6
  • 車線変更、交差点での振る舞い *7
  • 縦列駐車 *8
  • 右折左折 *9
  • 90度カーブを含めたバック走行 *10
  • 坂道駐車・発進 *11

です。それぞれの採点基準(私が知っているもの)と注意事項を対応する脚注の部分に書いておきました。実際に試験を受ける人は参考にしてみてください。縦列駐車やバック走行の失敗が-4点なのに対して、歩行者を優先しないと-4点、ブラインドスポットの未確認が一回-6点と安全系の減点が厳しく見られているようです。また、採点は試験が今の行為が危ないかどうかの判断によるところが大きいので、ルール通りにというよりは常にその場の安全策を取るのが重要だと思います。15分程度で試験は終了し、その場で試験官が結果を出します。合格でも不合格でもスコアや、悪かったところなど説明してくれるので、しっかり聞きましょう。

 

技能試験の対策

友達や家族の車で練習するのに加え、ドライビング・スクールでレッスンを数回受けておく方が良いでしょう。やはりインストラクターはプロですし、実際に採点するのは彼らなので、彼らの推奨するスタイルをまず覚えるのがお勧めです。私はレッスンを受けながら友達数人に協力してもらい、彼らの車でも練習しました。レッスンを受けるさいに模擬テストをやらせてくれというと、実際と同じ基準でテストを受けさせてもらえます。一回はやっておくと良いでしょう。

また、YouTube上には実技試験の動画が出回っています。これらを見ておくと多少試験がスムーズに進むかもしれません。お勧めな使い方は、減点部分をテロップで流している動画を自分が運転しているつもりで見て、テロップを見ずに減点を指摘するです。全部ぽいぽい言い当てれるようになればやりがちなミスを自分でも犯しにくくなるでしょう。

 

免許取得に最短、最安でどれくらいかかるのか

筆者は初めて車に乗ってから総運転時間9時間、期間にして一週間半で免許が取得できました。運転6時間の時点で受けた模擬テストも合格だったので、これより短い時間で合格するのも十分に可能だと思います。ただ、合格するのも大切ですが何より安全が第一です。合格しそうだなという時点で練習やレッスンをやめるより、十分安全に走行できるなという確信ができる時点まで練習することを強くお勧めします

試験自体は筆記が$35程度、実技が車持ち込みで$60(スクール車で+$20)程度、発行手続き云々で$80かかります。つまり最安での突破を狙うなら$170前後で免許が取得できるわけです。実際は最低一、二回はレッスンで模擬テストや自己流で勝手にやっていないか確認するのをお勧めします(一回$60~70程度が相場ではないでしょうか)。また、試験はスクール車を使うのがお勧めです。スクール車には当然助手席にもブレーキが付いており、試験官もその方が安心して試験を行えます。試験の採点は試験官の裁量によるところも大きく、実際に事故に遭ったことがあるという話も聞いたので、彼らがリラックスできる状況の方が良いでしょう。

 

はりねずみ的にまとめると

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*1:ワシントン州ならDepartment of Licensing(DOL)、カリフォルニア州ならDepartment of Motor Vehicle(DMV)、オクラホマ州ならDepartment of Public Safety(DPS)など。

*2:他の州では州の機関で受けるしか選択肢がない場合も多いようです。

*3:混雑する日や時間帯によってはもう一杯だと弾かれる場合もあるので、あくまで予約する方がいいでしょう。

*4:アメリカで運転免許を取ろうという人にそんな人はいないと思いますが...。

*5:ミスがあると-2点です、運転する車のスイッチ・レバーの位置等、覚えましょう。

*6:走行中に片手運転になると-2点、スピード超過は程度で減点ですが、+3マイルまでは減点がありません。試験官が止まれ!等の指示をしなければいけない状況になると一発不合格になります。

*7:シグナルやブラインドスポット確認がなければ-6点です。交差点では自分に優先権があるのに行かないのも減点になります。

*8:テストでは実際に車の間に停めることはほとんどなく、前の車のみで後ろの車を想定して駐車するように言われます。完全に失敗しても減点は4点なので、気を落とさないことの方が大切です。モニターを使っても良いらしいですが、人によっては使わせないらしいのでなしでもできるようにしておくと良いでしょう。

*9:最も近い車線に入れなければ−3点減点です。スピードが早すぎても-6点減点です。かといって遅すぎても-2点の減点があります。

*10:バック時に歩道、車道の確認のため二回停車しないと減点です。縦列駐車同様完全失敗で-4点です。

*11:サイドブレーキが壊れた場合を想定して坂道を転がって行かない方向にタイヤの向きを変えて駐車しないと-4点減点になります。発信するときにシグナルを出し忘れるとまた別に-4点減点なので注意しましょう。